野村一夫『着地せよ、無翼の大人たち』(2005年)詳細目次


野村一夫『未熟者の天下』(青春新書インテリジェンス、青春出版社、2005年)は現在、書籍版が品切れで、私自身もほとんど本が手元になく、かろうじて電子書籍として販売されています。私としては品切れであるのならウェブで公開したいのですが、電子書籍のプランが始まっているとのことでした。Kindleなら学生にもすすめられるんだけど、そうではなく国産仕様なので、ほとんど「塩漬け」になっています。

最近、学生に語ったりFacebookに書くことが、じつはすでにこの本でだいたい書いていたことを発見し、「まあ、人間って進歩しているつもりでいても、じっさいには同じところをぐるぐる回っているんだな」という自覚を得ました。ということで自分の大人論を思い出すべく草稿と書籍版の細目次を公開します。ちなみに当初は「大人論を書いて下さい」という企画だったのですが、発刊直前のタイトル会議で、私がさらっと書いたこのフレーズ「未熟者の天下」が採用されたのでした。本論では「成熟と未熟」フレームを批判しているので、いささか不本意でしたが、新書のタイトルと見出しの編集権は出版社にあるので「それで読んでもらえればいい」と考えて了承しました。初刷り1万2000部でした。しかし「重版出来!」という事態は訪れませんでした。

書評で評価してくれたのは宮崎哲弥さんだけでしたね。朝日新書の中で言及してもらいました。それから私自身が本書を見直すきっかけになったものですが、今年の大学入試問題の現代文で出題されました。「すいか」について書いたところで、木皿泉ブームに引き寄せての出題でしょうか。出題者の先生の深いご理解がありがたかったですね。よくこの箇所を見つけられたものです。ありがたいことです。

ソキウス・シューレでは、完成稿ではなく「大人論」として書いた1次草稿を「着地せよ、無翼の大人たち」として全文公開します。

着地せよ、無翼の大人たち(1)「大人になれない」という合い言葉

着地せよ、無翼の大人たち(2)フィクションとしての大人

着地せよ、無翼の大人たち(3)大人問題としての過去の呪縛

着地せよ、無翼の大人たち(4)リスク社会と信頼のネットワーキング

着地せよ、無翼の大人たち(5)消費文化の主役になる

着地せよ、無翼の大人たち(6)大人はクールに批評する

着地せよ、無翼の大人たち(7)大人の宿題、大人という宿題



以下は『未熟者の天下──大人はどこへ消えた?』(青春新書インテリジェンス、2005年)の詳細目次です。

第1章 大人はどこに消えた?

1 あふれる「大人になれない」論
‘’成人の日‘’の本当の問題とは
大人を語らない大人論
大人になれない男と女

2 成熟という幻想
「大人になれない」論の正体
「成熟した大人」は幻想である
未熟者としてのオヤジ、オバタリアン
若者は大人をどう見ているか
今、本当に語るべきこと

3 大人はどこにいるのか
そもそも成熟なんてしないのだ
「新しい大人」の誕生

第2章 「大人らしさ」の正体

1  大人の条件
大人が大人を感じるとき
「成人=大人」ではない
大人適齢期の意味するもの
「豊かさが自立を妨げる」は本当か?
大人の諸類型

2 大人役割と「ほんとうの自分」
大人とは役割である
大人がいるのではなく、大人としてふるまう者がいるのだ
大人であろうとすることの意味

第3章 未熟な大人が引きずる過去

1 大人問題とは何か
成長という物語は崩れた
大人の中に残された「若者」という過去

2 若者意識からの自由
若者気分という甘え
消費社会が助長する「お客様意識」
自分は若者なのか? 大人なのか ?

3 教育からの自由
アダルト・チルドレンという疑惑
「何もやってくれなかった」という甘え

4 ルサンチマンからの自由
大人への道を妨げるルサンチマン
不幸感を増幅させる「自分という物語」
差別を生きる大人の覚悟
格差で覚醒する大人意識

5 大人思考への道
大人思考とは何か
問題状況を意識して生きる

第4章 リスクで芽生える大人意識

1 死を意識して生きる
病と死が若者を大人にする
健康ブームの裏に隠れているもの
健康志向社会は大人社会の始まりである

2 リスク社会を生き抜く条件
リスク社会とは何か
だれもが被害者にも加害者にもなり得る
リスク社会に生きる大人の条件
大震災の経験がもたらしたもの

3 信頼という大人の力
信頼という資本
大人がつくる信頼の社会
「お互いさま」が社会を豊かにする
大人のコミュニティはどこにあるか
強くてしなやかな大人社会実現のために

第5章 大人買いの深層心理

1 大人が自分のために買うということ
「大人ブーム」の実態
買うことで主張する
不便さを楽しむ大人の趣味

2  大人文脈の消費を読み解く
文化のリサイクル
あえて逆行する大人の選択
主流からはずれる喜び
大人買いがもつ二面性とは
大人の消費が生み出すもの

3 消費文化を組み立て直す
自分の「はまり場」を発見する
利也クレーマーという責任
「消費のことば」に対抗する視点

第6章 「ことば」がつくる大人の社会

1 大人のメディア・リテラシー
メディアを育てるという発想
「頑固な受け手」として働きかける
マス・メディア三つの法則
ネット時代の新しい大人の教養とは

2 ことばのもつ力を使いこなす
「そうでない可能性」を想像する力
第三者気分を捨て、発言しよう
わかりやすいことばをつかって説明責任を果たす
今どきの大人の理想形

3 ニュートラルに生きる
マジメな若者ほど陥りやすい罠
大人の知恵「最適解の思想」
大人とは「無翼の人」である

第7章 大人という宿題

1 大人をとりまく二つの環境
大人の果たすべき課題とは
組織人として、大人として
居心地のいい空間を生むための条件

2「新しい大人」の条件
新しい世代の新しい大人像
大人という宿題を果たすために

あとがき──未熟者ですから

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